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不定期更新…って訳じゃないけどSSなんてものをUPして見る。
無駄に続く・・・きっと・・・ 「アカシャの空嬢」 人生を生きる上で区分するなら快楽か苦痛か、このどちらかしかない。 快楽は苦痛を忘れる魔薬・苦痛は快楽を助長させる魔薬・・・どちらにしてもろくなものじゃない。 だが人はこの2つに縋るしかない・・・そう自分もそうだったのだから… 時には人を傷つけ、時には殺め、時には吊るされ、時には沈められた… もうどれほどの長い時をこうしてきたのだろう。 「おや、誰かと思えば『幽の君』か、君と対峙するのは何回目だね?」 目の前にいる男はそう言った。名前?そんなものに意味があるのか?よく覚えていないが確かルドルフとかそんな名前だったかもしれない。 どちらにしても私にはたいして大きな意味にならない。 「変な名前をつけられたものね・・・私の名前?・・・私に名前なんてそもそもあったのかしら?」 捨てたか忘れたかそれとも元から無かったか・・・思い出せる筈が無い何せ記憶の中から名前なんて出てこない。 「ほう、名前を持たずに自我を持ち続けるか・・・いや、既に無いのかな?我々神秘魔導協会は君を認めているというのに…社会は認めようとしない、嘆かわしい事だ…そうは思わないかね?」 そう私の神経を逆撫でする声は私に同意を求めてくる。 「そんな事はどうでも良いわ。そこをどいてもらえないかしら?私はそろそろ行きたいのだけど」。 こいつの前にもう1秒と居たくない。そう肉体の全てが細胞レベルで非難をしてくる。 (書き換えてやろうかしら・・・)そうそんな事を思うがきっと肉体全てで代償を支払う羽目になるだろう。 そんな事は宗教を妄信している原理主義者たちで十分だ。 私はしたくない。 「まあどこに居ようと探そうと思ったら君を探せるわけだし、好きにしたまえ…」 そう言った目の前の男はスッっと私の進行を妨げない位置まで移動する。罠かと思えたがどうやらそこまでは考えた無かったらしい… 「そうそう、君に一つ聞いておきたい・・・」 どうやら改札口を通る為には切符を差し出さなければいけないらしい。忌々しい改札員だ。 「何よ?」そう端的に答えるが相手はそこに嫌味を感じたのか顔を顰めて首を横に振る。 「ずいぶん嫌われたねぇ。件のアナンダ少年よりは私は優しいつもりなのだが・・・まあいいか。君にはそんな事まったく意味を持っていないのだろうしねぇ…」 そう言った男は淡々と聞きたい文句の説明に入った。 「君は外に何を望む?君が流れ着いたこの大陸の外に今更出て何がしたいのかな?」 そんな事を聞いてくる。 私をこの大陸に誘導したのはお前ではなかったか?そんな事を一瞬考えたがこいつは聞きもしないだろう。・・・アナンダ・・・懐かしい名前を聞いたがそれは誰だったか…最早遠い記憶の向こう側に行ったのだろう。顔すら出てこない。 思い出そうと思わないから対して問題にならない人物だったと思う事にした。 「私は自由を探すの。それ以外は無くってよ。」 そう『幽の君』と呼ばれた女性は答えた。 急に男は笑いをかみ殺したように笑い始めた。…何時見ても感じが悪い。 「君が自由を語るのか?人はエーテルを超えられぬというのに!君が自由を!?ははは、これは最高のジョークだ!」 不愉快な男は不愉快に歪む顔を私に向けなおも笑った。 「良かろう、私は止めはしない。生きたまえ君が「自由」と呼ぶものがこの世に存在するか探してくるといい!」 失敗した、咄嗟に口に出た自由なんて言葉はこいつを焚きつけるだけだった・・・ まあ切符を受け取った改札員は通してくれる様子で私に微笑みかけ手を振る。 「ああ、そうそう他の協会の諸兄らの目くらましは私がしておいてあげよう。君の長い旅路に幸福があらんことを…」 そういった男の姿をもう一度見てやろうと思ったがそこには既に何も無かった。 そうして私は大陸を後にした。実際追っ手は来なかったし安楽な旅ではあった。 だが、私の全てはそこから始まる事をまったく考えても居なかったし、あいつもまたこの先どうなるかなんて年代記を照会する気も無かったのだろう。 だからこそ私は始めて「生きている」ことを体感するのだから… 第一回目です。 きっと続きます。感想とかあったらコメントよろしくです。 PR |
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